ひとりぽつねんと犬神家の一族を見る

映画を見たいなと思い立ち

 

 いい季節になってきました

 

 明日の水曜はレディスディだから映画でもと思っていたけど

友人は花粉症なのでこの季節が嫌いです。

誘いの電話をかけでみると

案の定鼻をぐずぐず言わせ、くしゃみを連発し

映画どころではなさそうで・・・

 

 すっかり行く気をなくし

自宅で古い映画をみる事に

 

 出かける必要もないので夕方から

1976年の犬神家の一族を見た。

 

 昨年のクリスマスイヴにTVで放送された

犬神家に違和感があって

なんかこう・・・いけないものを見てしまったような

違うものになってるような。

1976年 犬神家の一族 

 改めて1976年 石阪浩二さんの金田一を拝見した。

何度も見てるから、事の顛末は承知の上でも見応えがある。

この時代背景、重厚感、役者さんの衣装もよくお似合いです。

 

 私はこの映画を劇場で見た世代です。

抱き合わせなしの邦画1本だけ

当時は1本だけの上映はなかったので、高い映画だなあとおもいながら

それでも満足した覚えがあります。

入った時は立ち見

原作を読んでいたので終わるころ入って我慢する。

いつ入ってもよかった

入れ替えなんかありませんでしたから

この時は極力映画は見ない。

空いた席に座ってもう一回目をちゃんと見る。

こういう人結構いました。

映画館は一日いたってOKでしたから。

 

 比べるのもなんですが

イヴのTV版、金田一耕介は加藤シゲアキさんと言う人でした

あまりよく知りませんが、設定された時代と合ってなかった。

この人のせいではないですが。

 

昭和22年の設定ですから世代の乖離というか

背景となじまない。

帽子が長すぎてバランスが悪い。

カツラが安物すぎる。小道具はケチっちゃいけません。

いきなり宿屋の主人の下駄でシャーロックホームズ。

これをやらないと名探偵の説得力に欠けるのなら

いっそこの人用に、全く違う脚本書けばよかったのに。

 

 なまじ76年版を踏襲したもんだから

逆効果になって気の毒だった。

 

 TV版犬神家は

古谷一行さんという金田一耕介の金字塔がいらっしゃいますから

石坂さんより古谷さんと比べられてしまいます。

 

 76年版をなぞっていますが

今の時代佐兵衛翁の男色の下りは描けないのか

ばっさりカット。

これがないから、野々宮大弐との関係

野々宮夫人との関係も描けず

珠世さんは初恋の人の孫になってしまい

莫大な遺産を譲る動機としては

ちょっと成立しにくいものになりました。

 

 また珠世さんは戦慄の美しさと原作にはあります。

76年版の島田陽子さんは文句なしの珠世さんでした。

東宝映画に松竹女優を引っ張り出すだけの

圧倒的な美貌と佇まい。

今見ても惚れ惚れします。

 

 イヴのTV版、きれいな人でしたが

珠世かと言うとちがう。

時代があと15年くらい遅くないと無理がある。

 

 松竹梅3姉妹もなんだかなあ

松田美由紀さんが松子やった方がよくない?

松子役の黒木瞳さんはきれいですが

どっしりとした犬神家未亡人の貫禄には

欠けるように思いました。

 

 いろいろ出てくる。

 

 どうやらTVでは戦後間もないこの時代背景を

描き辛いらしい。

2時間という尺もきびしいし

おどろおどろしい

と言うのも表現しにくそう。

 

 そう考えると過去の作品特に

76年の石坂浩二さんの金田一耕介

TV版古谷一行さんの金田一耕介

このお二人の作品は傑作です。

 

 着物姿での金田一は石坂さんからだそうですが

着慣れていらっしゃいます。

今回カットされてた佐兵衛翁と野々宮大弐の

男色の下りを調べていく過程も丁寧です。

野々宮夫人晴世との関係に至る過程も。

 

 昭和22年の時代背景もよくとらえており

犬神財閥の遺産相続、佐兵衛翁の情念、怨念

最愛の孫珠世への執着を

伏線を丹念につないでいき身の毛もよだつ連続殺人が

明かされることになります。

 

 この映画ぜひ一度ご覧になってください。

このあと古谷さんのを見て寝る事にしよう。